内歯車(インターナルギヤ)とは|
内歯車(インターナルギヤ)は、円筒の内側に歯が刻まれた特殊な歯車で、一般的にはピニオンと呼ばれる小さな歯車と噛み合わせて使用されます。内歯車はその独自の設計と性能から、減速機構やトルク伝達が重要な産業機械や自動車などの分野で多く使用され、特に限られたスペースでの高効率な動力伝達が求められる環境で役立ちます。
内歯車の製造には高度な技術が求められ、精度の高い加工が必要です。これにより、内歯車は円滑かつ静音な動作を実現し、摩耗や劣化に強い製品が作り出されます。
製作にはピニオンカッターを使用します。
弊社ではオガサワラプレシジョン製の小モジュールピニオンカッターを各種取り揃えております。
主に使われる場所:遊星歯車装置、歯車形軸継手(ギアカップリング)ロボット・モーター減速機等
対応可能サイズ
最小φ12 最大Φ200 40Lまで
モジュール0.1~0.5
その他モジュールも対応可能です。


内歯車の特徴と利点
内歯車は、構造上の特性から以下のような多くの利点を持っています。
1. 高い強度と耐久性
内歯車は、強度に優れた材質で製造されることが一般的です。これにより、長期間の使用にも耐えることができ、機械の寿命を延ばす効果があります。また、内側に歯が刻まれているため、外部からの衝撃に対する耐性が高く、振動にも強い設計です。
2. 同方向の回転伝達
内歯車とピニオンが噛み合うことで、同じ方向に回転が伝達されるため、動力の伝達が効率的かつ滑らかに行われます。この同方向の回転伝達特性は、回転動力をスムーズに必要な機構へ伝える必要がある多くの産業機械で利用されています。
3. コンパクトな設計
内歯車は、その特性からコンパクトに設計することが可能です。特に遊星歯車機構で使用される場合、装置全体のサイズを小さく抑えることができ、限られたスペースでも効率よく組み込むことが可能です。コンパクトな設計により、省スペースが求められる場面でも重宝されます。
4. 高い減速比
内歯車は、減速機やトランスミッションにおいて高い減速比を実現できます。これにより、動力源からの回転を減速しつつ、高いトルクを効率的に伝達することが可能となり、機械の効率を向上させます。
5. 静音性
内歯車は、歯の配置が工夫されており、動作中の摩擦や振動を低減します。特に斜歯内歯車では、動作音が小さくなり、静音性が求められる装置において優れたパフォーマンスを発揮します。
内歯車の用途
内歯車は、その設計と機能性からさまざまな分野で活用されています。以下に代表的な用途を紹介します。
1. 遊星歯車装置
遊星歯車機構の中心部に配置される内歯車は、装置全体のコンパクトな設計に貢献します。遊星歯車機構は、入力軸と出力軸を同一軸上に配置することができるため、スペース効率が良く、自動車のトランスミッションや産業用ロボットの関節部などで広く使用されています。この機構により、減速や増速が効率的に行われます。
2. ロボット技術
ロボットアームの駆動機構に内歯車が使用されることで、各関節部での高精度な動作が可能になります。これにより、精密な位置決めや複雑な動作を行うことができ、産業用ロボットから医療用ロボットまで、さまざまな分野で活用されています。
3. 機械装置
内歯車は、工作機械や減速機などの産業用機械にも多く採用されています。特に、大きな減速比が必要な装置では、内歯車の特性が活かされ、効率的な動力伝達が行われます。
4. 自動車エンジン
内歯車は、自動車のエンジンやトランスミッション内でも活躍します。減速機構において、動力源からの回転を効率的に減速し、高いトルクを伝えることで、エンジンの効率を高めます。
内歯車設計のポイント
内歯車の設計は、機械の性能や耐久性に直接影響を与えるため、慎重な設計が求められます。以下に、設計の際に考慮すべき重要な要素を示します。
1. ピッチ円直径とモジュール
ピッチ円直径は、歯車の歯が噛み合う基準となる円の直径で、モジュールは歯の大きさを示す値です。ピッチ円直径とモジュールを適切に設定することで、内歯車の基本寸法が決定されます。これらの要素は、内歯車の機械的性能に大きく影響するため、慎重な設定が必要です。
2. 歯形と圧力角
内歯車の歯形は、動力伝達の滑らかさや効率に影響を与えるため、インボリュート曲線などの形状が採用されます。圧力角も重要な設計要素であり、噛み合わせ時の力の伝達角度を決定します。圧力角の調整により、耐摩耗性や効率が向上します。
3. バックラッシュ
バックラッシュは、歯車同士の隙間であり、過剰な摩擦や騒音を防ぐために重要です。適切なバックラッシュの設定は、歯車の寿命やスムーズな動作に貢献します。特に、高精度な動作が要求される装置においては、バックラッシュの管理が欠かせません。
4. 材料の選定
内歯車は、耐摩耗性と強度が求められるため、使用する材料の特性が重要です。一般的には、耐久性に優れた合金鋼や焼入れ処理が施された材料が使用されます。材料の選定によって、歯車の寿命と性能が大きく左右されます。
5. 製造公差
内歯車の精度を確保するため、厳密な製造公差が設定されます。寸法公差が守られない場合、噛み合わせの不具合や動力伝達の効率低下を招く可能性があるため、製造時の品質管理が重要です。
内歯車の製作ならサイトウ工機へ!仕様設計段階からのご相談にも対応
内歯車は、その高い効率性、コンパクトな設計、高い減速比、静音性、耐久性といった特性により、現代の機械や装置に欠かせない部品です。自動車や産業機械、ロボット技術、さらには航空機など、幅広い分野で重要な役割を果たしています。設計や製造には高度な技術と管理が求められますが、適切な設計がなされることで、内歯車は信頼性の高い動力伝達を実現します。